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​理事長挨拶

このたび、私たちは「一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)」を設立しました。AIRoAは、AIとロボットの融合を通じてロボット開発技術を革新し、より多くの場面でロボットが活躍する社会の実現を目指す非営利の団体です。設立にあたり、活動の背景や目的、そして私たちが描く未来について皆さまにご説明いたします。

 

近年、AI技術は大規模言語モデル(LLM)や視覚言語モデル(VLM)といった基盤モデルを中心に大きな進化を遂げています。これらのモデルは、膨大なデータセットと計算資源を基に学習され、大きな資本力を持つ企業が中心となって開発が進められています。その結果、モデルの性能向上に必要なユーザーフィードバックが一部企業に集中し、新規参入や多様なプレイヤーの台頭が困難になっています。

 

2023年以降、この基盤モデルの開発潮流はロボティクス領域にも波及しています。ロボットの動作データを大規模に収集し、学習を通じて柔軟な制御を実現する「ロボット基盤モデル」の研究が活発化しており、特に日常生活タスクへの適用が進められています。一方で、こうした動きも主に大きな資本力を持つ企業や研究機関がリードする傾向にあり、データ収集やモデル開発において規模や技術力の差が顕著になりつつあります。

 

とくに日本は、これまで、産業用ロボットの分野で高い技術力を誇り、世界的に重要なプレゼンスを持つ国でした。しかし、AIを活用した汎用ロボットの開発においては、十分なデータセットの不足や、企業間でのデータ共有の遅れが課題となっています。ロボティクス分野での競争力を高めるためには、国内外の研究者や企業が利用可能な形で汎用性の高いロボット動作データセットを構築し、それを活用した基盤モデルを開発することが不可欠です。

 

AIRoAは、この課題に正面から取り組むため、次のような目標を掲げています。

 

第一に、短期間で汎用性の高いデータセットを構築し、それを基にロボット基盤モデルを開発します。第二に、開発したデータセットやモデルを国内外に公開することで、多様なプレイヤーからデータが集まりやすい仕組み「ロボットデータエコシステム」を構築します。このエコシステムが稼働すれば、データの蓄積とモデルの性能向上が加速度的に進み、より高度な汎用ロボットの実現につながります。さらに、中長期的には医療や建設など日本の社会課題解決に資するロボット導入が進むことを期待しています。

 

この取り組みを実現するため、AIRoAは公益性の高いプラットフォームとして運営していきます。データの収集・共有・公開において透明性と公共性を担保し、世界中の研究者や企業が安心して参加できる環境を提供します。また、短期間でデータセットとモデルを開発するために、これまでの研究成果を基盤として、効率的かつ迅速にプロジェクトを進めていきます。

 

AIRoAの活動は、単なる技術開発にとどまらず、社会課題の解決に貢献する取り組みでもあります。殊更、少子高齢化が進む日本において、汎用ロボットの普及は、労働力不足や医療の効率化といった重要な課題に対するソリューションとなる可能性を秘めています。私たちはこの取り組みを通じて、AIとロボティクスの力を最大限に活用し、持続可能で豊かな社会の実現を目指します。未来を切り拓くこの挑戦に、皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

 

一般社団法人AIロボット協会

理事長 尾形哲也

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